リリースツアー"塹壕"を終えて

2025年08月31日 23:30

これは別に、何故記録を残そうと思い立ったのか私にも分からない。ただ、音楽におけるライブっていうのはとても刹那的で、たった一日のたった数十分(プロは2時間とかヘーキでやっけど)の価値ある出来事だと思ってる。見に来てくれた人に私たちの姿は鮮明に残っているかもしんないけど、私としてはとても忘れっぽいので、こうして書いておかないと記憶から消えそうな気がする。だって星野の奴が提出するリフがむずいからいちいち思い出にリソースを割けなくて。あいつの曲はすげーし、それに必死というか一途になっていたいというか。だけどそうしてると日常に生きてステージで死ぬ日々を忘れてしまいそうな危うさにさらわれる。だからこうして、今回のリリースツアーであったことをなるたけ思い出しながら書くという作業に苛まれている。べつにやる必要はないんだけど、せっかくやりきったものを手放しにするのはもったいない気がしただけ。

まず、結論から言うとツアーっていうつもりはなかった。私達にそんな力はないし、ただ自分たちの出るライブを並べて、出したEPのプロモーションを目的にらいぶするだけだったけど、レーベルの偉いやつが「せっかくだしツアーって触れ込みのが面白い」とかほざくから、そうした。あのチラシも勝手に作られただけだし、センスが酷かったら被害届でも出してやろうか真面目に考えてた。けど、あれがきっかけで来てくれたやつも確かにいたし、貴重な夏休みを使ってまでライブをした甲斐があった。高校最後の夏に札幌に帰れなかったのは寂しいけど。来てくれた人はありがと。

初日の定例ライブ。これは当然、キカンズと抱き合わせで後ついでにテキトーなコピーをやったいつものライブだった。曲目は1組25分の持ち時間だったから、最初に作り途中の新曲をやって、ピープルの「旧市街」をやったりして、あとはEP3曲をやった。毎回思うが、星野のドラムを聴くと皮が割れねーか心配なくらい張り詰めた音がする。それが体育館中に響くのがたまんねーけど。いつものように、コーラは売り切れだったし。後に出たテトの奴は喉がちぎれそうになるまで叫んでた。キカンズとは後のライブもちょくちょく一緒になる。

で、次はDRAWでの斜陽。渡瀬の他に写実主義のあいつとうちの出版の人が見に来てた。この時はキャブスの「ラズロ、笑って」をセトリに入れてた。EPには「感光」って曲があるんだけど、星野が言うにはキャブスの曲から着想を得たらしい。あのEP、今んとこ全部そうじゃないの?って思うけど。FADGCEとかいう訳わかんないチューニングで弾けるから、流れでやった感じ。ムズすぎて渡瀬に教えてもらった。ぶっちゃけ、私はこういうフレーズは自分で考える頭がない。宅録時代の名残で打ち込みをしてもらった物を、ただ指板を滑らせたりハンマリングやらしてああなってるだけ。こんなことを言うのもだけど、星野もちょっとは弾ける。弾けるけど、ゆっくりじゃないとフレーズを確認できないから、打ち込んで、確認して、TABに起こして私に弾かせている。これの繰り返しだから、どちらかと言うと曲は難産気味。でもまとめて音源は出したいので、ライブが終わった今は制作に専念している。

斜陽の次のライブは、こんな事言うのもだけど、あんまりだった。けど、渡瀬が出版の人を音響に呼んだおかげで鳴らしたい音でライブができた。ただ、合文祭とはいえ、どう考えても1組にかける時間が短すぎだろ。呼んだ有名人の為にこっちの時間を削るってどういう神経してんの?実行委員。しょーもな。キカンズも苦言してた。いや、言ってもいい。おもしれーから。出番みじけーしホールでやるから音がいつもと違ったけど、EPのプロモーションにはなったと思う。手売りでCD5枚売れたし。あと私たちの紹介をする時に「ポストロックバンド」と言われたんだけど、ポストのイントネーションが投函する方でちげーよって思った。そんなことは置いといて、ヤオコーの連中も上手かった。「Electreel」って言うらしい。ボーカルがガチうなぎ屋らしくて、キッチンカーも来てた。曲、サイコーだった。ポップパンク好きだから表で浴びたかった。ボーカルの子の厚意でうなぎをご馳走になった。美味かったからちゃんとお礼しに行きたい。

それで、最後は下北沢を轟音と幾何学で壊しに行った。「HS-BSR FESTIVAL'25」。正式名称は「ハイスクール・バンドサマーロック・フェスティバル」。高校生バンドを集めた下北沢周辺のライブを利用したフェス形式のライブで、私立彁楽高校にもオファーがかかった。キカンズも出たしウチらも出た。斜陽はトッパーだったけど、音楽性の似てる連中とのブッキングだったから感触は結構よかった。だけど、今回のフェスは割とアウェーな空気だった。そうなるだろうとは思ってたので、キカンズの出番後の渡瀬に無理して回ってぶつかって揉みくちゃになって貰うことで空気を作ってもらった。ちなみにあいつらはちゃんと良いライブしてた。今回のライブは高校生がメインだから、見に来てた奴らも高校生だった。そいつらは多分、「出てるバンドが友達だから」とか「友達がかっこいいから」で見に来てたんだと思う。でも、ここはライブハウスでウチらがやってんのはライブだし、全員音楽にノる為にに来てくれたと思って、存分に聴かせてやった。だから、ライブのノリを知らない奴もお構い無しに巻き込ませていただいた。内心ざまーみろと思った。同窓会じゃねーんだわ。ライブ後に物販でEPを捌いたらまあまあ売れた。残りは学校の購買に展示した。

かくして、ライブが終わった訳だけども、正直言うともっとやりたい。やっぱステージにいる時は楽しい。でかい音でギターを鳴らせるし、心做しか星野も可不もいつもより楽しそうにやってるから、自然とテンションが上がる。そこにウチらの音もぶつかって奇跡のようなバランスでアンサンブルが成り立つことを考えると、これをもっとやりたいと思うのは自然だと思う。定例ライブで模索しながら、外のライブも捕まえてやっていきたい。今は製作がベースだけど。次またいい曲ができたら、その時もまた3人で色んなとこをぶち壊しに行きたい。また学校が始まるから、部活もガンガンやってくぞ。書きたいことぐちゃぐちゃなのに読んでくれてありがと。つか読む暇あったら寝ろ。おやすみ。

私立彁楽高校3年 志島奏

2025.09.06 追記

写実主義の奴、レポートみたいなの描いてた。音でけーっつってるけど、来てみな。これの何十倍はデカい音聴かせてやっから。

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