きょう、私立彁楽高校第一音楽室にて、軽音部による初の定例ライブが行われた。今年からは、現部長である二年・渡瀬慎也が、停滞していた部活動を牽引していくことになり、まずはその第一幕として定例ライブが企画されることになる。毎月2週間ペースで自らの部室を拠点に精力的に行うとの事だ。
「みなさん、本日は来てくれてありがとうございます」
12時開場、12時半開始の挨拶も程々に始まったのはコピーバンド主軸のパフォーマンス。人だかりのできている部室の奥、ステージ上では部員の趣味によって様々なロック音楽のカバーが行われた。
(力強く歌っている榎本康介の写真)
13:00「マイ・ケミカル・ロマンス」
Ba&Vo-榎本康介
Guitar-渡瀬慎也、志島奏
Drums-仁川巌
1.I'm Not Okay(I Promise)
2.Helena
3.Welcome To The Black Parade
13:25「American Football」
Gt&Vo-渡瀬慎也
Guitar-赤塚和音
Bass-榎本康介
Drums-星野林檎
1.The Summer Ends
2.But the Regrets Are Killing Me
3.Never Meant
(おちゃんせんすぅすのMVのフリをしている赤塚和音と志島奏の写真)
13:50「tricot」
Gt&Vo-赤塚和音
Guitar-志島奏
Bass-榎本康介
Drums-星野林檎
1.POOL
2.おちゃんせんすぅす
3.凛として咲く花の如く
(マイクに齧り付くように叫ぶ渡瀬慎也の写真)
14:15「the cabs」
Ba&Vo-榎本康介
Guitar-渡瀬慎也
Drums-仁川巌
1.わたしたちの失敗
2.ラズロ笑って
3.キェルツェの螺旋
4.僕たちに明日はない
14:40「bloodthirsty butchers」
Gt&Vo-志島奏
Guitar-渡瀬慎也
Bass-榎本康介
Drums-仁川巌
1.Jack Nicolson
2.4月
3.ファウスト
4.7月
所謂エモくてオルタナな面々が並んでおり、会場の空気は一気に熱を帯びることになった。意外にも、この選曲に対して生徒の反応は良かったようで、転換中には演者である部員と見に来た生徒が仲睦まじく会話をしている様子が垣間見えた。
Q.今回のコピーバンドについて、曲は聞いた事ありますか?
『ないです!でも、奏ちゃんがすごいかっこよかったし、聴いてみよーってなった』
『音ゲーでやったことある曲の歌詞を聴いた時はびっくりした』
『1番最初の洋楽はよく分からなかった』
休憩が終わり、15時半からは軽音部によるオリジナルのバンドが2組行われた。1つ目は部長である渡瀬慎也が結成した「サンハンキカンズ」。ベースの榎本康介とドラムの仁川巌によるトリオであり、ポスト・ハードコア主体のインプロビゼーションを中心に活動しているとの事。
「綿秡町からやって来ました、サンハンキカンズです」
渡瀬による投げやりなMCが差し込まれた刹那、一気に空間が轟音に包まれた。あまりの衝撃に、最前の生徒は耳を塞いでいた。それから乱雑な掻き回しの後、這い出てくるようにドラムがビートを刻む。その点を繋ぐようにベースがルードなラインを刻んだ後にギターソロが入り、それからリフへ。ここまで実に約4分。歌もなく、リフとリフの集合体がただ呼応しては会場にこだまするだけの混沌な空間が広がっていた。全曲インストでどこまでが曲なのか繋ぎ目が分からなかったが、終演後に渡瀬慎也本人からセットリストを頂いた。掻き回しの後に出てくるリフによってテーマが決まっており、それに応じて固有の名前がつけられていることになる。
(ドラムに向かってすごい剣幕で怒鳴ってる渡瀬慎也の写真)
(頭を振ってる影響でブレているが、これは榎本康介の写真)
(奇跡の一枚、スティックが折れる瞬間を激写している)
1.About Hunger
2.Suspicious
3.Foam
4.Goddbye,Goodbye,Goodbye
転換時間、会場には妙などよめきがあった。観ていた生徒からは、特に外音の爆音や、曲の内容について懐疑的な感想を残す者もいた。
Q.サンハンキカンズについて
『音がでかくてびっくりした、台風みたい』
『歌がないから、曲の意味がわからない』
『かっこいい音を集めたカタログみたいだった』
『また見たいかと言われると若干悩む』
16時10分、この定例ライブ最後に出てきたバンドは、「志島奏」。副部長である志島奏の宅録プロジェクトがそのままバンド形態になったもの。実は先日、演劇部によって行われた創作劇「下向く少女じゃいられない」のBGMは志島奏本人による作詞作曲なのだそう。「シューゲイザー×恋愛」というテーマを上手く解釈したオリジナル・サウンド・トラックから作曲者本人による歌唱で演奏された。
(劇中に出てきたヒロインと同じ、ひとつ結びの髪型でベースボーカルをしている志島奏の写真)
(これは赤塚和音。真剣な顔をして弾いている)
(無表情でドラムを捌いている星野林檎の写真)
Ba&Vo-志島奏
Guitar-赤塚和音
Drums-星野林檎
1.愛無-I've-
2.ライング
3.ふかく
終演後、このバンドによる物販が行われ、先日の劇を収録した自主制作のDVDと劇伴のCDと、タイトルに使われたロゴのステッカーが販売されていた。この時、会場には演劇部の生徒やそれを見に来たファンなどが集まってきており、その日の手売り分はほとんどなくなっていた。
Q.志島奏のバンドについて
『かなちゃんの隣で弾くのはとても緊張した』
『奏さんが歌上手いのは少し意外だった』
『性格と作詞は反比例する』
『やっぱり劇伴は作中ありきだが、そことは切り離されたバンド単体での曲というのもまた違った視点と解釈が見れてかなり面白いと思った』
かくして、軽音部の定例ライブは大盛況に終わった。夏の終わりの音楽はとても清々しいギターの爆音だった。われわれ私立彁楽高校は来週から二学期が始まるので、緩みすぎずに休みを謳歌したいところである。次のライブ予定は9月の初週らしい。続報を待とう。
私立彁楽高校広報部
カガコーにこにこ新聞・号外
写真・熊井典秀(私立彁楽高校写真部)